残すことの意義

残すことの大切さは壊すことより大変かも知れない。
しかし、あえて残すことの大切さを伝えたいのです。
壊して何もかも忘れたいということもあるのかもしれない。

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それは、三年前の偶然の出会いから全ては始まる。
壊したくなくても手放さない時もあるのかもしれない。
まさにそんな偶然に出くわし、お話を伺ったのです。
訳あって手放す想いはいかばかりか、先代が守り受け継いできた
歴史に終止符を打つことになろうとは誰が予想したでしょう。

なにがあっても、住まいだけはどんなことがあっても残したい
当時、切実に語られたことが今でも脳裏にはっきりと残ります。
幸いにして、人の手に渡ったにしても、想いは伝わるものです。

それは一本の電話でした。
一軒家をどうしたらいいのか教えてほしいと訪ねたのが
まさしく、三年前に訪ねたお家そのものでした。
三年ぶりにその家に出会えたのです。
それはまるで、私を待っていたかのようにも思えてなりません。

元持ち主の想いにこたえるべく鑑定することとしました。
鑑定士十名あまりによる鑑定を26日・27日にかけて行います。
そして、この家を心より愛してくれる方を募りたいのです。
それは、私が元持ち主にしてあげれることだと思うのです。

壊すのも一つの選択肢かもしれない。
でもそれは、鑑定士として本意ではありません。
残してこそ意義があります。
そして、活かし次の世代にバトンタッチしたいのです。